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千晴はドラマの内容をしっかりと知っているがノーコメントを貫いた。説明を求められても困る。ここにいる連中は普段、ドラマなんて見ていない。再放送を見たという優我の発言がそれを物語っているのだ。主人公を演じた俳優の名前を言っても思い出せるかさえ不明だった。
彼らが見るのは基本的に国営放送。しかも科学特集と相場は決まっている。
「まあ、ドラマの内容なんてどうでもいいだろ?それよりさ、丁度夏休みが来ることだし、学校の怪談を科学で解明。これならどうだ?部活しているっていうアピールになるし、成果もついてくるぞ」
さてはこいつ、この話題を切り出そうと企んでいたな。そう誰もが思うほど優我の意見は出来上がっている。実は密かに部活動をちゃんとしたいと思っていたらしい。
確かに今の三先生のさらに上の学年の頃まではちゃんと活動していたのだ。科学コンテストに応募したりとまともな科学部だった。変人の吹き溜まりでも質が違ったのだ。
「そうだな。まともな部活動というのも大切だ。しかも誰もが謎に思っていることをあっさり科学で解決したとなれば若人受け間違いない」
桜太は腕を組んで笑う。このメンバーでまとまって何かをする日が来るとは思わなかった。
「しかしうちの学校に怪談なんてあるか?そもそも初代の学園長が健在で歴史をべらべらしゃべるようなところだぞ」
出鼻を挫くのは楓翔だ。この学校の地質を調べようと学園内をうろついていた時、学園長である桐生源内に見つかって歴史の御高説を訊くことになった過去がある。おかげで知りたくない学校の歴史に詳しくなった。しかも地質調査は出来なかったのである。その問題の源内は73歳だ。
「それくらい、どうにかなるでしょ。どうせなら七不思議にして解明すれば?受けを狙うならこのくらいしないと」
千晴は部活動に賛成だ。自分の趣味を追求するのもいいが、せっかく放課後にこうして集まっているのである。
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