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桜太が説明を始めたところで、他のメンバーは神妙な顔をした。悪ふざけではないとのアピールだ。
「学園七不思議?そんなのあったっけ?」
早速松崎が突っ込む。それはそうだ。七不思議にしようと言い出したのは科学部である。
「今から探すんですよ。どうせ謎を解明するならば七つあったほうがいいですよね?」
言い出しっぺの千晴が説得を試みる。ここで松崎に反対されては意味がない。
「ふむふむ。たしかに中途半端に三つとか九つって言われても困るか。それにこのまま何もせずに科学部が消えるのも悲しいしね」
松崎も一応は廃部になるかもと気を揉んでいたのだ。生徒たちが自主的に動いてくれるのならば助かる。
「夏休みも活動するかもしれないんですけど、先生は大丈夫ですか?」
優我が窺うように松崎を見た。松崎にすれば休日出勤になるかもしれない。ここは重要なポイントだろう。
「ああ、いいよ。どうせ何も予定はないから」
若い教師とは思えないあっさりした答えが返ってくる。もはや彼氏募集すらしないのだろう。
「ありがとうございます。というわけで先生、早速ですが何か怪談話って知ってますか?」
許可が取れるや、すぐに質問する桜太である。
「現金だね。でも怪談か。聞いたことないな。学園の恐怖っていうのは知ってるけど」
松崎がにやりと笑う。
「うっ。恐怖ですか」
嫌な予感しかしない笑顔に桜太は引いた。
「そう。絶対に見てはいけない笑顔っていうのがあるのよ。それには注意して行動するように」
松崎が怖がる桜太にウインクした。
「意外と難しいのかな」
怪談ではなく恐怖について聞かされ、千晴は急に不安になっていた。
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