第1話 受診

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「君の摂食障害は普通の内科では治せない。君を救えるとしたら心療内科なのかもしれない。何か人に言えない悩みを抱えてないかい?」 リクは、自分に静かに話しかけてくる医師を、無言で見つめた。 何を言うべきなのか、分からなかった。 ただ、自分を救えるのがそんな名前の内科でないことは分かる。 「いえ、……僕は何も」 「診察時間外に電話しておいで」 「え?」 リクがまだ少しトロンとした気だるそうな瞳を向けると、荻原は穏やかに言った。 「私は以前、総合病院の心療内科にいたんだ。話くらい聞いてあげられるかもしれない。君が望むなら、他の心療内科を紹介してあげてもいい」 「……」 「まあ、どちらにしても、またここに治療に来ること。まずは内科的治療をしよう。いいね。またぶっ倒れたくなかったら必ず来なさい」 穏やかだが、逆らえない威圧感のある口調だった。 リクは取りあえず、治療に通う事には「はい」と答えた。 とにかく、一人で居る時にまた倒れて意識を失うことだけは避けたかった。 自分の意識が途切れる時間。 それが今のリクには、一番怖かった。
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