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「ねぇ! 私にも仮面のかぶり方を教えて!」 「大歓迎だよ。元々そのつもりで、君に話しかけたのだから何でも教える。でも、一つだけ条件があるんだ」 「条件?」 「一日限りしか仮面のかぶり方を教えない。それが条件だ」 「何故、一日なの?」 「だって、明後日から夏休みだろ? だから、一日限りだ」 「そっか、そうだね。じゃあよろしくね! 慎二くん」 そうだ、そうだった。明後日から夏休みだということを忘れていた。というより、夏休みどころではない出来事が立て続けに起きて、玲子の頭の中から夏休みというワードは抹消されていた。 慎二と話すこともでき、仮面の被り方を少し賢い自分に教えてくれるという約束に胸を躍らせるが、幸せというものは長続きしない。  威勢の良い怒鳴り声と体の大きな先生たちに囲まれ、玲子はまるで悪者のように問い詰められたことは言うまでもない。  やっぱり、仮面のかぶり方を早く習得して、幸せ者になる。そう、胸の中で誓う。
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