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晴れていれば何度も登ったことのある丘。
けれども、今こうして恐る恐る歩いているこのなだらかな斜面は、どれだけキツい丘陵よりも、遥かに登り辛いもののように思えた。
「はぁ……はぁ……」
胸がきつく締まっているみたいに、あっという間に息が切れてしまう。
サウザーと2人でこの丘を走り抜けて、背の高いリンゴの木に登って。
アップルパイを作ってあげたら、ものすごく喜んでたっけ。
「サウザー……」
あと少しでリンゴの木が見えてくるはず。
顎から喉を伝って落ちた汗の軌道を拭って、私は顔をあげた。
「……?」
リンゴの木の幹の辺り。
そこに何か……いや、誰かが立っている。
大きさから見ても、サウザーじゃない。
もっと小さな……私よりは大きな人影。
私の知っているヒューゴおじさんじゃない。
近くの村の人達も、私達が住んでいる場所は分からないはずだ。
そもそもヒューゴおじさんが作ったケッカイは、私とヒューゴおじさんしか通れないはずで……
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