第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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「やっ……えいっ……!!」 何度かジャンプしたけれど、男の人は、ぎりぎり手の届かない所にリンゴを掲げているみたいだった。 ここまで登ってくるのに頑張りすぎたせいで、息がすぐに切れてしまう。 「……はぁ……はぁー!」 膝に手をついて休んでいたら、男の人は、突然目の前にリンゴを差し出してきた。 手を伸ばしたら、 「あっ!」 リンゴはまた男の人の元に行ってしまう。 「…………いじわる」 つい、呟いてしまう。 「ふっ……相変わらずだな」 ようやく、男の人が口を開いた。 どうして相変わらずだなんて言ったのかは分からないけれど、男の人は、私のことを昔から知っているみたいに見えた。
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