第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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やっぱり村では見たことがない人だ。 こっちの人の髪の毛は、なんだか大麦みたいな褐色だ。 この辺では見たことがない、作業着みたいな服を着ていた。 「いませんねぇー。やっぱり、ジェイさんはどこか遠くの方に飛ばされ……ぅわぉ!」 その人は驚いたように私を指差して、口をぱくぱくさせた。 今度はまるで陸に上がった金魚だ。 一つ一つの動作が大きくて、なんだか見ていて楽しい。 「ちっ、ちちちチェルシー……?!」 「はいっ!…………え?!」 男の人と私とで、顔を見合わせた。 名前を言った記憶なんて無いのに。 さっきのことといい、この人といい……私のことを知ってるみたい。 何を話そうか考えていると、その人は、最初からいた男の人の方に向き直った。 「あの、どっ、どうしてここに?話だと、チェルシーと会ったのはもっと後のはずじゃ」 「さあな。いずれにせよ、そういう“運命”のようだ」 「ええっ!?」 男の人は、2人だけで話し始めてしまった。 この人たちを早くケッカイから出さないといけないんだけど、さっきから私だけ話に入れてもらえない。 「ねえ、ここ、あのねっ!」 気付いてもらえるように大きく手を振って。 熱心に話をしていた2人は、やっと私の方を向く。 「ここ、私とおじさんの家なの。勝手に入ると、おじさん物凄く怒っちゃうの……!」 「そういえば……ヒューゴさんはどこに行ったんでしょうか」 「さあな、通常通りの運命ならば、おそらく、先に襲撃をうけた村にでもいるのであろう」 「!」 やっぱり私は無視! …………ていうかこの人たち、おじさんのことを知ってる……?
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