第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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この人たちがヒューゴおじさんの友達だったら、私の名前を知ってても不思議じゃないし、ケッカイを通り抜けてこられた理由だって分かる。 「お兄さんたち、ヒューゴおじさんのお友達?」 「お兄さん、か……」 背の高い方の男の人が、困ったような笑顔になった。 悪いことでも言っちゃっただろうか。 「……チェルシー、ここを出てみないか」 「へっ?」 「え?」 背の高い男の人が私の前に屈んで、手を差し出した。 差し出された手は白くて、私なんかと比べたら、とても大きくて。 私は手を伸ばす代わりに、その手と、不安そうに私を見つめる男の人の顔を交互に見つめた。 「ここを……出る?」 ここっていうのは、つまり、ケッカイの外っていうこと……? 「なっ何を言ってるんですか!」 私が訊ねる前に、背の低い方の男の人が慌てたように言った。 「過去を全く別の物にするつもりですか!?そんなこと許されるわけ……」 「許す?フン、誰に許可を得る必要がある?」 「誰って…………運命の神様、でしょうか……?」 「リサか?あるいはフェリか……いずれにせよ、あいつならば、俺がこの世に生まれた時点で、過去を改変することくらい知っているはずであろう」 「そ、それは確かに……」 「そもそもあいつは俺が過去を変えるつもりでここへ来たことは既に了承している。1変えようと10変えようと、あの女には関係のない事だ」 「まあ……そうですけど……」
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