第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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私の名前は、チェルシー。 歳は分からないけれど、ヒューゴおじさんが言うには20年くらい……ううん、もっと長く生きてるんだって。 私は、他の皆とは“違う”。 背だって全然伸びないし、毎日家まで魚を届けてくれるリーネおばさんみたいな胸も無い。 それから、私には小さな頃の思い出がない。 気が付いた時には、ヒューゴおじさんとふたり、暗い所に閉じ込められていた。 20歩も歩けば壁に当たっちゃうくらい狭い部屋の中には、天井まで届くくらい沢山の本があった。 サウザーは、本当にがぶりとかじりついちゃうんじゃないかってくらい顔を寄せて、毎日その本を見てたっけ。 …………サウザー。 それは私の、初めての友達の名前。
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