第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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ケッカイの外に行くって言っても、きっと晩御飯までには帰ってこられるだろう。 この時期は、家の目の前にある小川に結構魚が泳いでいるから、捕まえてきて煮魚にでもしよう。 ケッカイの外にいるイノシシみたいなやつを捕まえることができたら、ヒューゴおじさんは喜ぶに違いない。 私は魔法があまり上手じゃないけれど、3人ならきっとなんとかなる。 ヒューゴおじさんの怒った顔が頭に浮かんできた私は、慌てて、おじさんの機嫌が良くなるような事を考えた。 この人たちはヒューゴおじさんの知り合いみたいだし、きっと、大丈夫。 「最初に家に行ってもいい?」 背の高い男の人に訊ねると、無言で頷いた。 「いいんですか?……ていうか、よくないですよ!この世界を変えるってことは、つまり、僕らの“今”までガラッと変わっちゃうんですよ!」 「……だから、どうした」 「ああもう、それって例えば、元の世界では普通に生きてた人が生まれなくなっちゃったり、歴史が全部変わっちゃったりして……」 「だから、それが何だと言うのだ」 慌てた様子の男の人とは対照的に、私のそばにいるこの男の人は、とても静かに答えた。 「他の奴等の歴史がどう変わろうと、俺達には関係ない」
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