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「ぼっっ僕は森人でも村人でもなくて、どっちかと言えばイイ感じの人です!」
「意味が分からん」
リュードお兄ちゃんが言うと、あきれたように背の高い男の人が呟いた。
女の人はパンジーの花のように柔らかく笑うと、私と、背の高い男の人の間に割って入る。
こうして見ると女の人も背が高くて、なんだかお似合いだ。
「ごめんなさい、迷ってしまったみたいなの。なんとか自力で戻ろうとしたら更に奥まで来てしまって……道を途中で見失ってしまって」
「道……?」
私が首をかしげると、女の人の代わりにリュードお兄ちゃんが進み出た。
「それなら僕達と行きませんか?!ちょうど僕達も帰り道を探してたんです!あなたとなら、道を踏み外したって構いませんけど!」
「……貴様、クリムソンに似てきたな」
どんと胸を叩くリュードお兄ちゃんを見つめながら、女の人は嬉しそうに笑った。籠の持ち手を掴んでいるけれど、肘のあたりで背の高い男の人の肘の辺りに軽く触れている。
「ほんと?それなら助かるわ。頼りになるのね」
「はい、お任せくださいっ!!」
と、リュードお兄ちゃんは女の人の籠を持とうとした。
なんだか重そうで、果物なんかが入っているような感じじゃない。
「これはいいの。私のお守りみたいなものだから」
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