第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

34/45
前へ
/284ページ
次へ
「り、リュードお兄ちゃ」 「ほんと、霧が濃くてイヤね。霧の中から何かが飛んできたりでもしたら、絶対に避けられないわよ……ね?」 籠を掴んだ方の手でリュードお兄ちゃんの背中を指差し、女の人は、ゆっくりと言った。 “バラしたら、リュードお兄ちゃんが殺される” 背中に冷たいものが走った。 どうしてかは分からないけれど、この人は武器を隠していて、私がおかしな真似をしたら、私達を殺すつもりでいる。 「だ、大丈夫……だよ。何もない、から」 「ええ、そうね」 私の右手を握る、女の人の冷たい手。 その指に力が入って、私の掌をきつく締め付けた。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加