第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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たちまち辺りは真っ暗になり、隣にいるミラさえ見えない。 「どうしたんですか、チェルシー!」 遠くからリュードお兄ちゃんの声がするけれど、今はそれどころじゃない。 「明るいと狙われちゃうと思って……」 多分遠くにいる敵は、私が持っていた明かりめがけて攻撃してたんだ。 だから、真っ暗闇にしてしまえば、確かに逃げるには大変だけれど、反面、敵だってこっちの場所は分からないはずだ。 私の読みが当たってか、カンテラの火を消してからは攻撃が止まった。 音もなく、何かがやってくる気配もない。 額の汗を拭おうと手をあげ、その手首を、誰かに掴まれた。 「きゃっ?!」 叫び声が出掛けた口を、その誰かの手が塞ぐ。
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