第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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「あら……」 ミラは少しだけ驚いたようにそう呟いたけれど、何かを仕掛けてくる様子はなかった。 リュードお兄ちゃんの、何となく頼りない腕をぎゅっと抱き寄せて、私とミラはしばらくの間黙って見つめあう。 「よーし!2人共、こうなったら僕に任せてください!シダーさんを回収したら、オークキング・ベクターでもナイトリッチでも、ぜえぇんぶ簡単にやっつけちゃいますからね!!」 静かに火花を散らす私とミラの間で、やる気になったリュードお兄ちゃんが高らかに宣言した。 「うふふ、頼りになるお兄ちゃんね」 愉しそうに、ミラは笑っている。 …………私が、リュードお兄ちゃんを守らなきゃ。 海に落ちたあの人の事が気になったけれど、ここはミラの言う通りにするほかなかった。 どうか……死なないでいて。
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