第14章【残虐なる正義・静謐なる旋律】

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今日の朝は、なんだか良いことが起こる気がして目が覚めた。 もしかしたら、サウザーが来てくれるのかもしれない。 朝……と言っても暗いけど、いつもより早い時間に目が覚めて、 外にある小川から冷たい水を汲んできて顔を洗って、 輪切りにしたレモンを浮かべておいたコップの水を飲んで、 たまった服を洗濯して、星の満ちた空の下に並べて干した。 時間が余ったから、部屋の中を隅から隅まで掃除して。 とっても爽やかな1日だった。 ヒューゴおじさんは、私達の家がある所から少し離れた村まで出掛けていたから、私ひとりでお留守番。 午前中に全部の仕事を終えて、お昼ごはんのパンを食べて。 午後から何をしようかと考えながら外を見たら、いつの間にか、窓の外は深い霧に覆われていた。 ……誰か、来たんだ。 “誰か”が、すぐ近くまで来ている証拠。 ケッカイがあるからこの家の近くには来られないけれど、誰かがここを探している証拠だ。
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