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立ち向かっても、きっと負ける。
そんな思いしかなかったが、寿葉は冷や汗をかきながら、立ち向かった。
「心配するな」
犬はそういうと母の首の辺りにかみつくと、
何かを銜えるように、持ち上げ、首を振り、投げた。
壁にバーンと音がして、大きな黒いものが張り付き、見る見る小さくなり、逃げていった。
『逃げた亡者が張り付いて、いたんだ。
悪意を吸い、すっかり、大きくなってしまったな』
母が起き上がって、「何をしたの?」って聞いてきた。
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