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『零。お前、今どこに居る』
『はぁ! 学校に決まってんだろ』
一夜零は、授業中に突然インカムに聞こえてきた蜩朧の声に、呆れながらも返事を返す。
零は、「Black Bird」の一員である前に普通の高校生でもある。
だから仕事が無い日は、普通に学園生活を送っている。
インカムは、特殊なやつを使用しているので他の人には見えない。
『零。仕事だ』
普段自分が学校に居る時は、朧は零に気を使って絶対連絡をしてくる事はない。
だから、それだけ、今回の仕事は緊急を要する。
『…どこに行けばいい?』
『もう居る』
窓から外に視線を向けると、校門からこっちらを見つめている朧と目が合った。
『目立つから裏に居ろ!』
「あの? 先生」
「一夜くん。どうかしましたか?」
黒板に文字を書いていた先生が、零の方を振り向く。
「…急に頭痛がしてきて…」
仕事で病人の演技を数多くこなしているのでこのくらいは朝飯前。で、今回零が選んだのは、頭痛。
頭痛が演技だと知らない先生は、痛がる演技を疑う事なく、保健室行きを認めてくれた。
「一人で大丈夫か?」という先生の気遣いに「大丈夫です」と返事を返しながら教室を後にした。
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