昔の記憶

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「すごく楽しみで……」 「葉月こそ子供みたいだな」 楽しみとはにかむ彼女が可愛かったが、さっきの台詞を彼女に返した。 それに彼女は唇を少しだけ尖らせて「もう、ひどい……」と、呟くから、それも可愛くて、俺の顔は無意識に緩む。 「あっ、お洗濯終わりましたね」 「あぁ」 「私、干してきます。共哉さんゆっくり食べていて下さいね」 彼女は洗濯機が終わりを告げる音に反応して、立ち上がる。 「葉月飯は……」 「もうほとんどいただいたので、大丈夫です」 よほど花見が楽しみなのか、彼女は朝飯が終わってないのに洗濯機のほうへと駆けていった。 最近あまり構ってやれてないからだろう。 取り残された俺は、目の前にある彼女の食パンがミミしか残ってないのを確認して追うのを止める。 きっと「大丈夫」と、言われるだけだろうし、ほぼ食べ終えているから平気だろう。 前は洗濯機の扱い方もわからなかったのに、今ではコースメニューも使いこなせるようになったようで 洗濯は彼女の仕事となっている。 塔子さんが平日こなくなったのも大きい。 塔子さんがここにくるのは、彼女がテスト期間だけだ。 そうしたのは、彼女の意思が強かったからだ。 料理以外はほぼダメだった家事も、俺の残業が続いた日に覚えたらしく、それらも彼女の仕事となっている。
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