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沖田は土方の部屋を出るとすぐに桔梗を探しに向かった。すると前から山南が手拭いを手に持ちこちらへやってきた。
「あ、山南さんおはようございます。」
「総司おはようございます。今日は随分と早いようですがどうかしたんですか?」
「だって今日は大坂へ行くんですよ?僕楽しみで早く起きて桔梗さんを起こしに行ったんですよ!ところで桔梗さん知りませんか?」
山南は少し笑ったあとうーんと考えるような仕草を見せた。
「うーん、そういえば先程井戸で顔を洗っていましたね。ですが体の調子が悪いのか頬を赤く染めて何やらぶつぶつと独り言を言って朝餉を作るとか何とか...」
「じゃあ台所へいったんですね!体の調子は大丈夫だと思いますが!」
「あの様子だと熱があるように見えました。もし本当に調子が悪いのであれば土方君に伝えて大坂行きは無しにしてもらわねばなりませんね?」
心配そうにそう話す山南をみて沖田は口角を上げ山南に手招きをした。
「ん?なんですか?」
山南が沖田に近づき耳を寄せると沖田は小さな声で話し始めた。
「あのですね、実は...」
「え...?土方君が桔梗に夜這い...」
「僕は驚きました。確かに土方さんはスケコマシですが屯所の中でましてや桔梗さんにまで手を出すなんて...桔梗さんは純情な方ですからそんな事をされて本当に傷ついたんでしょう。僕、早く桔梗さんの所へ行かなくちゃ!では、山南さんまた後で!」
沖田は山南の目元が鋭くなるのを見るとさっさとその場を離れた。
山南に背を向けた時横目で山南の顔を見ていた
沖田はフッと悪魔の様な笑顔を浮かべ小さな声でこう呟いた。
「ざまぁ土方」
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