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「…ッそんな目で俺を見るな!」
「す、すみません…つい…」
土方は自分に向けられた視線に胸が大きく疼いていた。桔梗は謝り下を向くと現代に居たに読んだ本で勉強した歴史を思い出そうとしていた。
(確か力士達と乱闘になって…場所は…ッ)
大まかな歴史は分かっていても場所や時間などは本にもそれ程事細かには記されていなかった為大体の歴史しか思い出せずにいた。
「おい」
突然掛けられた低い声によって桔梗の思考は遮られた。
「はい、何ですか?」
「不安なのは仕方がねぇが今回俺は行けねぇ。近藤さんや山南さんもいるが二人は忙しい筈だ。」
桔梗が小さく相槌を打つのを確認すると土方は続けた。
「だが、総司、斎藤と永倉それに源さんも同行する。常に誰かと行動しろ。くれぐれも芹沢達には気をつけろよ。」
「はい、わかりました。」
「あいつらには俺から話をしておくから、そんなに不安そうな顔するんじゃねぇ。」
土方の言葉を聞き桔梗は笑顔を見せて立ち上がった。
「土方さんありがとうございます!そういえば旅道具はどうすればいいですか?」
「平助に貸してもらえ。あいつがまだ一番小せぇからな。」
それを聞くと桔梗は頭を下げ藤堂の元へ向かった。そしてその夜桔梗が大坂へ共に向かう事を知った沖田は子供のように喜び、永倉は何か考え込んでいて斎藤はと言うと自分が守らねばと使命感に駆られていたらしい。
桔梗は仕事を終えると早い刻に床につき
明日の出発に備えるのであった。
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