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「ん…暑い…」
知らぬ間に眠っていた桔梗は暑さと苦しさで目が覚めた。ふと横を見ると土方の顔がすぐ側にあり驚いて目をぱちくりと開けた。
「土方さ…!!」
土方を起こす為体を動かすと何故暑かったのか何故苦しかったのかその理由がわかった。
同じ布団に入り土方に抱きしめられていたからだ。
「ん…ッ」
「土方さん起きてください!」
色っぽい声を出し少しもぞもぞと動いた土方は更に一層腕に力を込めた。
「…ッ力強すぎ!」
必死に腕を離そうともがくが土方はびくともしない。その時襖の外から声が掛かった。
「桔梗さーん!起きてますか?」
「そ、総司…」
「起きてたんですね!僕珍しく早起「入らないで!」き…」
桔梗が止めるも虚しく沖田は饒舌でご機嫌のまま襖を開け中へ入ってきた。そして固まった。
「…」
沖田はまだ布団に入っている二人に無言で近寄り次の瞬間土方の長い髪を思いっ切り引っ張った。
「ッ…痛…」
「起きてください。何ですかこの手は離しなさい、穢らわしい。」
沖田は淡々と無表情で言ってのける。それを間近で見ている桔梗は恐ろしくて何も言えなかった。
「いてぇ…ッ人を起こすならもっと別のやり方で起こせ!」
完全に目が覚めた土方は髪から手を離させようとぐっと力を込めた。
「ひ、土方さん近いです…」
向かい合ったまま抱き締められている桔梗は顔の近さに思わず頬を染めた。だが土方も抱きしめる手を離そうとはしない。
沖田は勿論気に食わないので手に最大の力を込め髪を引っ張った。土方も負けじと頭を振りかぶって引っ張り返したその時…
ちゅっ
「ん…ッ?!」
一瞬のことだった。土方と沖田の力は同じ様に強かったのだが頭を振りかぶり勢いがついたせいで土方の顔は限りなく桔梗に近くなり唇が触れその場に小さなリップ音が鳴り響いた。
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