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藤堂平助
牙城と土方はヨドバシカメラをブラブラした。壁には一面、パンジーが覆われている。
「綺麗だね?」と、牙城。
「何が?女?」
土方は高校の頃から女たらしで有名だ。
「ちげーよ」
牙城はニンテンドー3DSを買った。すれちがい通信っていう機能がついているらしい。
「すれちがい殺人はよくないけど、すれちがい通信はいいです」と、土方がわけの分からないことを言った。
蝋燭の形をした京都タワーをボーッと眺めた。
「女子アナが乳ガンなんだって?」と、牙城。
「そりゃあ大変だ。それより、飯はどうする?」
土方はボケたふりをした。乳ガンね、まぁ運が悪かったんだな。
「さっき、うどん食ったろうよ。土方、肘と肩の次は、頭かい?」
「中岡、俺は頭やられた」
「坂本龍馬かよ?」
油小路通に入った。藤堂平助の亡霊が現れた。
土方には見えてないが、牙城には見える。
多摩第6時代にイジメに遭い、首を吊った。母親の発見が早かったために、命に別状はなかった。
酸欠になり、一時的に呼吸が出来なくなったせいなのか?見えないものが見えるようになってしまった。
「俺さ、昔、この辺りで死んだんだよ」
「伊東四郎に味方したせいで、近藤勇から命を狙われたんだろ?」
伊東甲子太朗って嫌な奴がいたんだよ。水戸の出身でさ?あいつさえ現れなければ、俺が死ぬこともなかった。
伊東四朗みたいなカクカクした輪郭してたなぁ。中途入社のクセによ!近藤の野郎!
近藤は幕府の維持にこだわったが、伊東は西郷隆盛や、桂小五郎と同じ改革派だったのだ。
新撰組を潰すために入隊したのさ。
馬鹿でも分かるように噛み砕いて説明しておいたよ。
「伊東先生を、あんな陰険そうなジイサンと一緒にするなよ」
藤堂が次々に通行人を斬っていく。
かまいたちに切り裂かれたかのように、通行人はキョトンとしている。
「誠の旗が泣いている」
土方が散乱する死体を眺めながら言った。
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