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新見錦登場!
「新見じゃねぇか?」
頬に傷のある男の正体は新見錦だ。
俺のダチで玉造組の幹部だ。水戸藩の危険分子で、藩士の武田耕雲斎によって構成された。
水戸藩は桜田門外の変で台頭する。
関一鉄たち18人の烈士は歴史に名を残す。
井伊直弼を葬ったものの、幕府の刺客によって殲滅された。
耕雲斎は天狗党の結成にも携わっている。
天狗党は玉造組の後釜だ。
水戸領内で保守派の《諸生党》と抗争を繰り広げ
た後に、1864年3月27日に筑波山で挙兵する。
この頃には芹沢や新見は既にこの世にはなく、藤田小四郎がbossに変わっている。
芹沢は水戸時代から凶暴で、鉄扇で同僚を殺してしまい死罪が言い渡された。これにより、玉造組は瓦解する。
獄で時世の句を考えていると、武田耕雲斎が助け船を出した。『京へ上って、長州や土佐を引き入れろ』壬生浪士組の入隊には、そんな画策があった。
「近藤の奴、今度こそ見つけ出してやる」
新見が飴玉を口に放り込んだ。
新見は、局中法度である《勝手に金策するべからず》に背き、祇園新地にある山緒っていう料亭で、土方と山南敬介によって切腹に追い込まれている。
文久3年(1863)8月15日のことであった。
さらにそれから1ヶ月後、芹沢鴨も部下の平山五朗と共に屯所である八木邸で始末されている。
これにより、芹沢新撰組は壊滅する。
新撰組の両翼を成す土方と山南は度々対立し、後に悲劇を生むこととなる。
子母澤寛の、『新撰組始末記』によれば新見は遊蕩に耽り任務を怠り、隊費と称して民家から金を強請っていたらしい。
「あいつの正義感は人を死に追いやる」
新見は身震いをした。
「近藤の奴、あんとき殺しておけばよかった」
俺は舌打ちをした。
1度、戦後の闇市で近藤の化身を見かけたが、逃げられてしまった。
「鴨やん、整形でもしたの?大塚美容外科~」
「違う、高久クリニック」
「高久じゃなくて、高須だけどな?」
「あぁ、それそれ」
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