第23章

3/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 ぞっとした。息子が恐ろしい……。 「―――岡本千朗のおかあさん?」  すぐそばを通り過ぎたタクシーが急停車して、その窓から誰かが叫んだ。振り向いた靖子は学生服を着た少年が手を振っているのを見る。 「良かった、会えて。早く乗って! 千朗くんが大変なんです1・」 「え? あなた、誰? どういうこと? 千朗が?」 「いいからっ、乗って下さい!」  今、息子を恐ろしいと感じていた母親は、「千朗が大変」という言葉で、それでもタクシーに駆け寄った。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!