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ぞっとした。息子が恐ろしい……。
「―――岡本千朗のおかあさん?」
すぐそばを通り過ぎたタクシーが急停車して、その窓から誰かが叫んだ。振り向いた靖子は学生服を着た少年が手を振っているのを見る。
「良かった、会えて。早く乗って! 千朗くんが大変なんです1・」
「え? あなた、誰? どういうこと? 千朗が?」
「いいからっ、乗って下さい!」
今、息子を恐ろしいと感じていた母親は、「千朗が大変」という言葉で、それでもタクシーに駆け寄った。
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