第2章

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『今まで目をそらしてきたことをすべて明かされた、そのあと。オーナーは後悔しないと約束できますか?』  後悔はもう嫌だ。する可能性があるのなら、そんな約束したくない。約束をするならもっと未来を楽しく迎えられるようなものがいい。志井君と遊園地で遊ぶ。そんな約束ばかりならいいのに。 『俺は、オーナーに傷ついてもらいたくないです。もし、すべてを知ってオーナーが苦しむことになるのなら、俺は』  君はどうして私を気遣う素振りを見せるんだろう。 「傷つくのは怖いよ」  だけど、今さら引き返すことなんて、もっと出来るわけがない。 「今だって知りたくなかった事実を聞いて混乱してる。どんな顔をして空木さんに会いに行けばいいのかよくわからない」  止めていた手をもう一度伸ばして、志井君をそっと手のひらで包む。
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