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だから…唯一安心して素を出せる俺と付き合ったとか?
…………俺に告白してきた時と…それからの1週間くらいは普通だったんだけどな…。
「大変だひろし!ここから先は手をつないで歩かないと進めぬぞ!」
「なんでだよ…」
自転車置き場から校門の道にそんな制約があるわけない。
そもそも恥ずかしいし…川村さんと手をつなぐと他の男子が嫉妬して嫌がらせをしてくる可能性も高い。
綺麗な薔薇にはトゲがあるのですよ川村さん。
「ふっ、なんだ…照れておるのか。可愛いのう…」
人の気も知らずに…いや、半分くらいは正解だけど。
俺はとりあえず校舎に向かって歩く。
川村さんは歩幅を合わせて隣を歩く。
すれ違う生徒たちがみんな振り向く。
みんな川村さんを見ている…その後に俺を見て残念な表情になる。
わかってるよ…釣り合ってねーんだろ。
この視線が思った以上にきつい。
川村さんに申し訳ない気持ちで胸がいっぱいだ。
「ひろしよ、民衆の視線など気にするな!奴等はなにもわかっとらぬのだ!」
なんだよそれ…なんのキャラだよ…。
いつもこんな感じで川村さんは俺を鼓舞してくれる。
優しいっちゃ優しいのかな?
そのまま俺と川村さんは下駄
箱を経由して教室へ向かう。
「ところで川村さん…そのしゃべり方は疲れない?」
いや、逆に楽なのかな…でもコミュニケーションとりづらいと思うんだよな。
「え……もしかして…逆に気を使わせちゃった…かな?」
川村さんは軽く握った右手を口元にあて…俺を上目遣いで見る。
可愛いな…可愛いから俺は明後日の方向を見ながら言う。
「そんな…あの…疲れないならいいんだけど…」
川村さんは言う。
「全然大丈夫だよ!私は早くひろしに似合う彼女になりたいし…」
ちょっと待てよ…そのしゃべり方で俺に似合う彼女なのか?
俺は疑問に感じたことをとりあえず言ってみる。
「俺…オタクトークはあまりできないぞ…いや…すまんオタクじゃない…」
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