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申し訳ないが俺は川村さんの土俵には立てない。
期待を裏切ってすまない。
そんな男じゃないんだ。
「んーと………友達と話してる時のひろしを見てて………友達はそんな世界の事ばかり喋ってたから……そうなのかなと……冷静に考えると……ひろしは相づちしか…してない!」
川村さんは廊下の天井を見ながら喋り…なんか納得してくれた。
……ってか友達と喋ってるとこそんなに見てたんだ。
「だから俺…川村さんにも相づちしかできないよ」
俺は少し困った顔で川村さんに言う。
川村さんはなんか両手で自分の顔を隠してる。
オタクと思って付き合った俺がオタクじゃなかったから…今までオタクな自分をさらけ出してしまって恥ずかしい…ってところかな?
「ひろしと楽しくお話ししたいから色々勉強したんだけどなー…」
川村さんは両手を下ろして溜め息混じりに言う。
色々勉強ってなんだ?
なんか俺にはもうよくわからない。
「色々ってなに…?」
俺は興味無いような感じで訪ねる。
「DVDとかコミックとかたくさん読んだんだよ」
んーと…それって…
「間違ってたらごめん…オタクな俺に合わせるためにオタク知識をしっかり勉強してたってことでいいかな?」
まず大前提の俺がオタクってのは間違いだが…
川村さんは顎に手を当てて少し考えた後に言う。
「そうなんだけど…なんか…違ってたかな?」
川村さんの苦笑いがすごく微笑ましい。
俺は川村さんの手を握り教室に入る。
本当に俺にはもったいない彼女だ。
大切に…しよう。
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