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また少々離れた所には、氏照正室や侍女、重臣の室の座も造られ、身分の軽い家臣の妻女も招待されているのは氏照が家中を労うための心づくしでもあった。
暗闇の中、能の演目と合わせるかのように木々の間で花を満開に咲かせた山桜が、ひらひらと花弁を舞い散らせる様は篝火に照らされ、美しい。
日暮れから始まった演目は翁からはじまるが、最後の五番目物となると打ち鳴らす太鼓の音も激しくなる。
シテの動きも見る者を圧倒し、演者の表情となっている鬼の面が観覧する者を威圧していた。
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