まだ咲き染めし梅の匂いに

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言い終わるのが早いか、侍の一人のみぞおちを蹴る。 図体の割に、簡単に崩れ落ちた。 「この童(わっぱ)!」 焦燥の表情を浮かべながらも、飛びかかってくるもう一人の男。 すかさず地に手を着き、足を薙ぐと、倒れた男の腹に一拳。 最初にみぞおちを蹴った男は、目の前で仲間が気を失ったのを見て、ふらつきながら逃げ出す。 「あーあ、水干が汚れちゃった。一度、着替えに帰らなきゃ。」 ――まずは、従者の印象が大事だよね。 使用人が清らかで美しければ、“主人はきっともっと・・・”、と思ってもらえるはずだもん! 《終》
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