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デートに誘ったのは
捺さんの方で・・・
――――切るわねと一方的に切られてしまった。
無機質な音を暫く茫然と訊いていた。
私は頑張って
新しい服を買って
メイクも研究して
今日のデートを
楽しみにしていた。
なのに・・・
仕事でドタキャンなんて酷い。
ベンチに一人座り込み、力なく夜空を見上げる。
群青色に染まった空。
黄色い三日月と星が光っていた。
来ない待ち人を待っても仕方がない。
私は立ち上がり、帰ろうと足を前に進める。
細いブロックの隙間にミュールの踵が挟まり、派手に扱けてしまった。
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