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扱けた私に向けられる人の視線が恥ずかしい。
右膝は擦りむいて血が滲んでいた。
私は膝の痛みを堪え、立ち上がる。
――――仕事だからって
色んな思いが胸を掻き毟る。
次第に胸いっぱいに溢れた悔しい思いが
私の瞳を濡らした。
泣いても仕方がないと思い、気丈に涙を堪え
脱げたミュールを拾い、右足に履いた。
「藤ヶ谷さん?」
私の目の前に烈君が立つ。
「ここで何してるの?」
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