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「ここで大丈夫ですか?」
彼女に訊くと、振り返って僕を見た。
「あの、せっかくですから、中に入りませんか?」
そうして、チラリとカウンセリングルームのドアを見やる。
特に用事もないし、ここで断る理由もない。これも貴重な経験だと、彼女の目を見つめた。
「はい、じゃあ」
彼女の言葉に頷いて、僕は車いすを押し、カウンセリングルームの中に入った。
「千紗(ちさ)ちゃん、いらっしゃい」
カウンセリングルームの中に入ると、二十代半ばくらいの女性が、笑顔で僕たちを迎えてくれた。
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