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「すみません、ありがとうございます」
本来謝るべきなのは僕なのに、この時は気が動転していて、そんなこと、頭をかすめもしなかった。
「あの、お怪我はありませんか?」
僕には、そう訊くことが精いっぱいだった。
すると彼女は、そんなことしかできなかった僕に、柔らかく微笑みを向けた。
「ご親切にありがとうございます。でも、大丈夫ですよ」
微笑まれ、どうしようか迷った挙句、そろそろと手を差し出した。
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