華に狼、暁守る華

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 ふぅ、と艶やかな唇から吐息がこぼれた。  その溜め息は口にした紅茶を称賛するために吐かれたものなのか、目の前に横たわる書類の山に向かって吐かれたものなのか、それとも…… 「華、イチゴジャム付いてる」  華さんの膝の上に座った女性がそっと華さんの首に腕を回しながら唇を寄せる。  ……ちょっと、待て。 「取ってあげるね」  その唇が遠慮なく華さんの唇に重ねられる。  それどころか白い歯が華さんの柔らかそうな唇を甘噛みした。  そんな彼女に対して、華さんは無抵抗だ。  キスをされようとも、唇に歯を立てられようとも、口の端に付いたジャムを舐め取られようとも、瞳を閉じたまま微動だにしない。  華さん単体だけ見れば、眠っているのかと疑うほどに無反応。  しかしそれはこの行いを看過していい理由にはならない。 「……暁さん、いい加減にしなさい。  ここは職場です、イチャ付かない」 「あら、じゃあ自宅でならばいいの?」 「自宅でもダメです華さんを解放しなさいっ!!」 「解放されたからって貴方の所に行くわけじゃないのに。  ねー、華?」
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