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「じゃあ私の仕事が終わるまで秘書課で待機」
「えーヤダー、どうして私があんなヒヒ爺の相手をしなきゃいけないのよぉ」
「ヒヒ爺?」
だがその硬直状態に変化をもたらしたのは、僕ではなく華さんだった。
華さんが閉じていた瞼を不意に開く。
仕事モードの華さんは、ごく至近距離で暁と視線を合わせても物怖じしない。
「秘書課にお客様がいらしてるの?」
「客じゃないわよ、あんなの」
「標的は、なっこ?」
「だからこっちに逃げてきたの」
「どうしてそれを最初に言わないの。ボスは?」
「グレーゾーンで狩るには大きすぎるって」
「理解」
その距離がうらやましい。
できれば僕が取って替わりたい、その時は華さんの方を膝に乗っけたい……
じゃなくて。
一瞬、そんなことを考えていた間に、華さんが動きを見せていた。
紅茶の入ったマグカップをデスクへ戻し、膝の上にいる暁の肩からジャケットを滑り落とす。
対する暁は華さんのカーディガンのボタンを手早く外すと、こちらも肩からカーディガンを滑り落とした。
まるでその様は、情を交わすためにお互いを脱がせ合っているように見えて……
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