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「うわ~ホンマにかわいいなあ~」
周りの友達が興奮して、授業に集中できなくなるほど彼女は高嶺の存在だった。
どこの学校にだって学校一の美人、かわいい人っている。
「おのみかちゃん!」
誰かがその高嶺の花に話しかける姿を、俺は教室の窓から見ていた。
見とれてしまうぐらいかわいい。
どんな顔で笑うんだろう。
どんな声で話すんだろう。
どんな話に興味があるんだろう。
そう、気付けば周りの男たちと同じように彼女に心を奪われていた。
トントン
後ろから肩を叩かれた気がした。
俺は窓から目線を外し、後ろを振り返る。
いつもの友達の悪ふざけか、と思った瞬間、頭に衝撃を感じた。
あまり痛くないが、反射的に声が出た。
「いてっ!」
見上げると、中年のおっさん・・・じゃなくて先生が怪しく微笑んだ。
「青山、俺の授業のヒントは窓の外にあったか?」
先生は、おそらく俺の頭を叩いたであろう丸めた教科書で俺の窓の外を指した。
俺は首を横に降り、とりあえず謝る。
「すみません」
先生は、俺の席から教卓に向かって足を進めた。
「青山、放課後職員室に来い。あと、後ろの赤城もだ」
「え~!!俺もっすか?!」
予想外だったのか、俺の後ろの席の赤城は騒ぎ出す。
「おのみかちゃんのせいだ」
なんて愚痴を溢しながら、赤城はふて寝しだした。
俺たちはまだたったの16歳で、
大人には遠くて、でも、子供といわれるといい気がしない年齢だ。
けど、16歳にとって、学校がすべてだった俺にとって、キミの存在自体が10代の華を飾るぐらい大きかった。
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