1 Prolog

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綺麗に白い米の上に乗っている肉を割り箸でぐちゃぐちゃに混ぜ、最後に付属の粉唐辛子を適当にふりかけて準備完了。 丼はやはりぐちゃぐちゃに混ぜて食うのが一番うまいのだ。 一口。 「うめえな、なんだこのうまい食い物」 休憩の合間にこうして真夜中の空間を歩いて、物音一つしない公園で一人で飯。なんともオツなものだろう。相方があいつの時は定期的にこれをやるのもいいな。 とはいえ、早く帰ってこいとも言われてるし、あまりゆっくりすることもできないな。 俺はいつもより速いペースで牛丼を腹に流し込んだ。しかし、外で食う飯はいつもと同じ場所で食う飯よりもうまく感じるな。 「さてと、戻るかね」 五分くらいで全て食べてしまった。もう少し味わってもよかったかもしれないな。 空になった弁当箱をビニール袋につっこみ、俺は立ち上がった。 …ここで、なんとなしに空を見上げた。 「……ん?」 先ほどまではなかった「何か」が、空に浮かんでいるのが見えた。
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