2人が本棚に入れています
本棚に追加
「……息をしてない、心臓も止まってる!おい!大丈夫か!?」
肩を叩いて呼びかけてみたが反応がない。
俺は立ち上がって周囲を見渡した。
誰か、誰か近くに…
誰か、誰か近くにいないか?
「あっ、あれは」
ちょうど駐車場のほうから歩いてくる人影が目に入った。
あれは…俺の先輩で、医事課のリーダーをしている春藤(しゅんどう)さんという女性の職員さんだ。日勤帯の職員はだいたい朝のこのくらいの時間に出社してくる。
今出勤してきたのだろう。ちょうどよかった、力をかしてもらおう。
「すいません春藤さん!!ちょっと来てくれませんか!!」
俺は遠くのほうに見える春藤さんに大声で叫ぶように言った。
寝起きということもあり、俺の声には覇気がない。
「…みっちゃん?どうしたの!?」
俺の声が聞こえたのか、春藤さんが駆け足でこちらへ向かってくる。
なんとなく状況を察したのか、春藤さんの顔が少しこわばったものになった。
最初のコメントを投稿しよう!