1 Prolog

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「……息をしてない、心臓も止まってる!おい!大丈夫か!?」 肩を叩いて呼びかけてみたが反応がない。 俺は立ち上がって周囲を見渡した。 誰か、誰か近くに… 誰か、誰か近くにいないか? 「あっ、あれは」 ちょうど駐車場のほうから歩いてくる人影が目に入った。 あれは…俺の先輩で、医事課のリーダーをしている春藤(しゅんどう)さんという女性の職員さんだ。日勤帯の職員はだいたい朝のこのくらいの時間に出社してくる。 今出勤してきたのだろう。ちょうどよかった、力をかしてもらおう。 「すいません春藤さん!!ちょっと来てくれませんか!!」 俺は遠くのほうに見える春藤さんに大声で叫ぶように言った。 寝起きということもあり、俺の声には覇気がない。 「…みっちゃん?どうしたの!?」 俺の声が聞こえたのか、春藤さんが駆け足でこちらへ向かってくる。 なんとなく状況を察したのか、春藤さんの顔が少しこわばったものになった。
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