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「これでも休みの日に出てきてめんどくさい研修受けましたからね」
「あはは、あの時のみっちゃん本当にめんどくさそうな顔してたもんね」
「そうですよ」
「……それよりも、さっきの子、どうなりました?助かりそうですか?」
「ん、どうだろ…ちょっと待ってね」
春藤さんはパソコンの画面に向き直すと、マウスを操作した。
医療関係者は、医師や看護師に限らず、算定業務を行う人間も電子カルテを閲覧する権限があるが、個人目的で利用することはあまり好ましくはないのだが、これは場合が場合なだけに、仕方がない。
「……ICU(集中治療室)に入院になってるね。かろうじて生きてるっぽい…かな。あそこでみっちゃんが素早く動けたからだね、えらいじゃん!」
「死んでないんですね…?ああ、よかった」
俺は心の底から安堵した。どこの誰なのかもわからないけど、あれだけ手を尽くしたのに結局助からなかった、ってオチはまっぴらごめんだ。
「あとは警察がなんとかして家族を探してくれるでしょ……とにかく、お疲れ様みっちゃん、お手柄だった!」
春藤さんに軽く背中を叩かれた。ひとまずは俺の行動が間違っていなく安心した。
「じゃあ帰りますね。お疲れ様でした」
「うん、おつかれー、また明日ね」
別れの挨拶をして、俺は医事課事務室を後にした。
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