第二章 閉鎖病棟の少女

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「あ……そういえば」 俺はふと「あの子」のことを思い出して、パソコンの電源を入れた。パソコンも一応動作はしているが、院内ネットワークにしか接続できないようである。 立ち上がるのを待ってから、電子カルテソフトにログインをした。 (別に見たからってどうなるんだ) …途方にくれていた俺は、「彼女」の電子カルテを開き、「閲覧」をクリックしていた。 中には点滴やら超音波検査、酸素吸入などのオーダーが分刻みで入力されていて、一命をとりとめたとはいえそれでもなお危険な状態が続いていることがわかる。 ……一番下までスクロールさせたが、とくにおかしいことは何も書かれていなかった。 当たり前だ、そんなことは。 「……はあ」 マウスから手を離し、背もたれにおもいきり背中をおしつけ、伸びをした。 ああああぁぁぁと、情けない声が当直室に響く。 どうしたらいいかさっぱりわからん。完全に詰んでしまった。 俺はここで、何をしたらいいんだ。 なんで俺はここに一人でいるんだ。 なぜ俺なんだ。 他の誰かではダメなのか。 これが何者かの俺に対する精神攻撃なのだとしたら、それは見事に大成功だ。 俺はすっかり参ってしまい、もう腹でも切って死んでしまおうかと思った……
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