第二章 閉鎖病棟の少女

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その時だった。 「……え!?」 パソコンのモニターに表示された、「彼女」のカルテ。 そこに入力された記事が、上へ上へと押しやられ、それと同時に下からどんどん空白がせりあがっているのだ。 ものすごい速さで改行されている。カルテの長さを表すスクロールバーがみるみる小さくなってゆく。 「なんだなんだ、なんだこれ」 そして…それを眺めること数分、突然改行が止まり……。 「な……!?」 真っ白の電子カルテに、突然「何か」が入力されはじめた。一文字ずつではない、何行もまとめて、目で追えない速さである。 それは日本語でも英語でも、漢字でもカタカナでもなんでもない…まるでくさび型文字か何かのようで、何を表している文字なのか見当もつかないし、一文字も読めそうにない。 地球上に存在する文字ではないが、そんな文字に対応している入力ソフトが病院内のパソコンにインストールされているとも考えにくい。 っていうか、違う、そうじゃない!! 今大事なのは内容じゃなくて……今これをどこかで入力してる人がいるってことだ!確か入院病棟は…。 「……ICU、集中治療室…!!」 俺は立ち上がり、当直室を飛び出した。 これを入力している誰かが、この建物の中にいる…!! もうカルテの内容なんてどうでもいい、誰か人がいるだけで十分だ…!
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