1 Prolog

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真横の横開きの重めの扉が開くと、中から相方が頭をかきながら眠そうな様子でのそのそと歩いてきた。 「ういーっすおはよう……」 半開きの瞼はいかにも寝起きといった感じだ。 「あんま寝れなかったみたいだな」 まともに寝れる環境かというと、微妙なところだから仕方ないんだけどな。 「睡眠時間が中途半端すぎて起きた時ねみーのなんの……飲みもん買ってくるわ」 「へいへい」 相方の戻りを待つ間、俺はデスクの上に散らかった筆記用具やら空のペットボトルやらを整理した。 今日は平和だったな。 片付けが済んだのとほぼ同時に、ガチャリとドアの開く音がした。片手に財布、もう片手にコーラのペットボトルを持った相方が入ってきた。 「なんか引き継ぎある?」 コーラをデスクに置きながら相方が問う。 「んや、なんも。患者も誰も来てないしこれからなんか来る予定もない。平和な夜だ」 「それは何よりだな、んじゃ交代すっか」 「おっけ、じゃあ休憩入らせてもらうぞ」 「おう」 俺はリュックを持ち上げ、さっきまで相方が使っていた隣の休憩室へと入った。
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