破壊と復元

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「破壊屋の仕業だったんですね。それは本当に申し訳ありません」 「あなたが謝るようなことじゃ……」 「こちらの懐中時計、私が責任を持って、復元します」 青年は、「復元屋」と呼ばれていた。どんな品物も、欠片から、本来あるべき姿に直してしまう。 「死んで」しまった品を彼は、「生き返らせる」生命を吹き込むように繊細に、丁寧に。 「お願いします」 依頼者の男性が立ち上がり、頭を下げた。切実な態度に青年は、「必ず」と断言し、力強く頷いた。 依頼者の男性が背を向ける。扉の上の鈴が鳴った。青年はその背を見送りながら、心中でもう一度頷いた。必ず復元させる、と誓った。 男性が去ってから数秒後、店の奥から一人の偉丈夫の男性が現れた。「破壊屋」と呼ばれている男だ。 その気配に青年は振り返り、顔をしかめた。 「直せ、ってさ」 「聞こえてた。直せばいいだろ」 「壊したの誰だよ」 「俺は依頼されただけだ」 ドサッ、とソファが跳ねる勢いで破壊屋は、復元屋の正面に腰を落とした。破片を手にする。 「一センチ弱。いい仕事をした」 「やりすぎなんだよ。話聞いてたなら知ってるだろ。それ形見なんだよ」 「俺に背景は関係ない。ただ、壊すだけだ」 「俺は大事にするけどな。ただ直すだけなら誰でもできるが、その思い、背景まで直さないと意味ないからな」
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