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「おかしいのはお前のほうだ! なんでこんなくだらない決まりにとらわれ続けてるんだよ! 万人にとって音楽は自由だ! それをリューリス達が自分たちの自由と地位を守るために、500年もの間俺たちを縛り続けてきたんだよ! だからお前も作曲が許されない! こんな理不尽なことあるか?
リューリスなんてもの、存在しなきゃいいんだ! お前もずっとそう思ってきたんじゃないのかよ!!」
がしっ、と指先が食い込むほどの強さでルイの両肩をつかむカール。
痛みに顔を顰め、ルイは逃れようと身を捩った。
「それは違う! リューリス達がそんな勝手な理由で作曲をし続けているわけがない! あの人たちは音楽と、この国を純粋に愛してるだけだよ! だからこそあんなに素晴らしい曲が書けるんだ!」
叫ぶように訴えるルイ。こみ上げてくるものが、うっすらと瞳に透明な膜を張る。
「もちろん僕だって曲を作りたい……! 自分の作った曲を演奏したい! でもそれが許されないからって、リューリスやこの国を憎んだことなんて一度もない!!
僕が作曲をしたいと思うのも、音楽を愛しているのも、あの人たちの曲があったからだから!! それを教えてくれたのはカールじゃないか!!」
肩をつかむ手が一瞬緩み、その隙にルイはカールから距離をとった。
髪の毛が陰になり、カールがどんな表情をしているかはわからなかった。
「か、カール……? ごめんその……」
心配になりそろそろと傍へ近づく。
ふと、カールがルイの手をとった。
「無理やりにでも会わせなきゃ、わからないみたいだな」
ぼそりとつぶやいた彼は、弓を止められたときと同じ顔をしていた。
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