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「…っ??」
男のすぐ隣に火の玉が着弾する。彼はそれに気を取られ、目の前から迫る氷の塊に気がついていない。
「お前、ちゃんと前見ろよ!!」
別の男がそう叫びながら氷の塊に対し魔法を唱える。その瞬間、氷の塊は散らばりキラキラと光を反射させていた---まるでそこだけ別世界であるかのように。
「すまなかった。」
「おしゃべりしてる暇はねーよ。ちゃっちゃか行くぞ!」
氷を砕いた彼はそう言いながらどんどん魔法を放っていく。もう1人の彼も必死で後に続く。
「…っ!!」
前にいた彼が何かに気づいたかのように動きを止まる。
「どうし---。」
「しゃがめ!!!」
後ろにいた男は言葉の意味を一瞬理解できないでいたが、身体が勝手に動いていた。
彼らが伏せたその瞬間---。
*****
「…うそ、だろ…?」
男の声は虚しく響いた。辺りは焼け野原となっていた。
「おい、誰か返事してくれよ!!」
男は大声で叫ぶ。しかし返事はない。それどころか風の音すらしなかった。
「俺は…俺はどうなるんだ…。」
男はがっくりと肩を落とす。その次の瞬間、彼ははっとして後ろを振り向いた。そして何かに驚いたのか目を見開く。
「…うそ、だよな…?」
彼の顔は恐怖に引きつっていた。そして…。
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