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徹「……どうしてこうなった」
徹の周囲は木、木、羽、木、草、と見渡す限り植物?がいっぱい。元気いっぱいな子ども達が見たら喜びそうな風景だがそんな事を考えている余裕はない
徹「誰か、誰かいないのか!」
いつぞやの進撃のアノマリーの時にもこんな台詞を言っていた気がするが、あの時とはまた状況が違う
徹「誰か僕を……」
妖精A「あはは、待て~」
妖精B「ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ」
妖精C「⑨…じゃなくてチルノのところに行こうよ、みんな」
徹「僕の事を気にしてくれ……」
視界に入っている筈なのに完全にスルーされていた。前に仲間のニンジャがみんなに気付かれない夢を見たと言っていたが、それが現実に起きるのは正直辛かった
話しかけたら、「誰かなにか言った~?」と反応され、いきなりぶつかられたら「なんか変な壁がある~!」と言われた
最早、姿を認識されてさえいない
徹「ハハッ…僕って、そんなに影が薄いのかな……」
彼の目から一粒の涙が伝っていく
徹「ああでも、バスティアンの皆にも偶に言われてたっけ。『徹兄ちゃんって影薄いよね~』って」
一つ一つ、自分の過去を振り返りながら、徹は森の中を歩いていく
どうして気づかなかったのだろう
自分はもう影がないのだ
消えて残ったマフラーが、ただ風に踊っているだけだ
徹はゆっくりと倒れ込む。あの時とは違い、鏡華はいない。奇跡は二度も起きないと、そんな事をわかっていながら、それでも希望を捨てずにはいられなかったのだろう
徹は手を伸ばす。だが、その指に誰かのぬくもりが触れる事はなかった
?「何やってんだ、お前?」
とうとう幻聴が聞こえるようになったのだろうか、誰かが声をかけている気がする。ああ、皆は優しい人だった。こんな自分でも関わってくれ──
?「いや、聞けよ!」
徹「……え?」
?「え?じゃねえよ!何してんのか聞いてんだよ」
こちらを向いて話しかける少女を見て、徹の目からは大粒の涙が溢れる
徹「ありがとう。優しいね、君は」
?「声かけただけでかよ!?どんな生活してたんだよ今まで!そういえばどっから来た?というか誰だアンタ?」
いささか質問の順番がおかしい気もしたが、徹は今までの事を語っていく
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