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もともと約束していたのか、急な申し出だったのか定かではないが、彼女のマンションで彼女を待っているのは十中八九彼に違いない。
ゆずのお願いを無視してマンションの駐車場に入れば、例の場所に例の車。
黒っぽい色の軽のワゴン車。
環ちゃんの車。
乗っている様子がない。ってことは、本人は既にマンションに上がり込んでいるんだろう。
マンションの玄関前に車を停めて降りると、後部座席に回ってドアを開けた。
怯えた表情で俺を見上げるゆずが恐る恐る出てくる。
「お気をつけて」
そうひと言だけ伝え、静かにドアを閉めた。
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