群青2 モノクロ第8話

5/39
前へ
/39ページ
次へ
咥えていた煙草を灰皿に押しつけ、火を消して、呆れた視線を彼女に向ける。 「で、ですよね」なんて笑って誤魔化してみたって、頬の赤は消えない。 「するなら今、ここでヤルけど」 ゆずの箸からポロ。と玉子焼きが落ちた。 ぱちぱちと瞬きしながら「へ?」と間抜けな声を出した彼女に近づく。 「したいね。ね。ゆず」 「えっ!?いややや!!わたしはっ」 隣に並び、逃げる腰に手を回して引き寄せ、慌てふためく顔を覗き込んだ。 「しよ」 彼女の唇はほんの少し甘かった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1572人が本棚に入れています
本棚に追加