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「喜んでもらえて良かった。今年は奥さんに選ぶの付き合ってもらったんだ」
「やっぱり。絶対先生のセンスじゃないと思ったんだよね」
貰っておきながら失礼な事を言って笑うと、先生も「バレてたか…」なんて言いながら苦笑していた。
「…純ちゃんがそうやって笑ってるの見て、ちょっとほっとしたよ」
「え?」
「さっき食事ご馳走になってた間、ずっと純ちゃんぼんやりしながら食べてたから。何かあったのかなと思ってさ」
「………」
先生は、さすがだと思う。
さすが私の主治医。
私の心情の変化に、こんなに早く気付くなんて。
「…別に何も…」
「何があったの?言いたくないなら言わなくていいけど」
……言わなくていいけど、と言われたら逆に口を開きたくなってしまうのは何故だろう。
「……誰にも言わない?」
「もちろん、言わないよ」
先生には、妙な安心感がある。
絶対に一生私の味方で居続けてくれるような、安心感。
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