恋は、突然訪れるもの

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「そっかなるほどね…ぼんやりしてたのは好きな人の事を考えてたからか」 先生が納得したように何度も頷く。 私は恥ずかしくなって、慌ててその意見を否定した。 「ち…違うよ!そんなんじゃないもん!……ただ、頭から離れないだけだもん」 ……見苦しい言い訳だ。 「……だって、恋なんてしないって決めたんだから」 「どうしてそんな風に決めつけるの?」 独り言のようにポツリと呟いたつもりが、先生には聞こえていたみたいで。 先生は、真剣な表情で私を真っ直ぐ見つめた。 「純ちゃん。僕は君の全てを知っているわけじゃないから、僕の意見なんて身勝手に聞こえるかもしれないけど」 先生は、一呼吸分の間を開けて、言葉を続けた。 「君がもし病気の事を引け目に感じてそう言ってるなら、今すぐそんな考えは消して欲しい」 …先生は、少し怒っているようにも見えた。 「たった一つの恋で、人生は変わるんだから」 「……そんなの、大袈裟だよ」 恋で人生が変わるだなんて、そんなの信じられない。
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